風邪からくる首・肩・肩甲部の激痛

傷寒病

東洋医学での風邪ひきすべてを表し、さらに細分化していった場合の呼び名でもあります。
今回は、高熱の出る風邪、筋肉に関係する風邪、寒さが原因でおこした風邪ひきのパターンです。

私自身の風邪の症例です。

症状

9日朝、「あれ風邪を引いたかな」頚のこわばりを覚える。

9日昼、過食気味の食事、3時過ぎより急激に頸が痛み出す。

9日夜、首のリンパ節を中心に腫れて熱感を感じる。つばを飲み込むにも激痛が走る。

   横になる体位変換に30分かけて行う。

   痛みと格闘しながら朝を迎える。

 部位:右肩から頸にかけて。

 首可動域:僅かに下に向けることができるのみ、後にはそらせない。

 痛み方:締め付ける引きつる痛み。動かすと激痛。

治療
9日:葛根湯を、1時間おきに7回服す。症状変わらず。

10日朝:芍薬甘草湯を2回服す。症状変わらず。

    茯苓四逆湯を4回服す。幾分マシになった感じ。

  昼:麻黄湯を1回服す。前日の睡眠不足もあり、1時間程眠れる。

  夜:烏頭桂枝湯2回全量服す。

11日朝:麻黄湯を3回服す。首の運動制限はあるが、痛みは3割程度残るのみとなる。

  以降、時間とともに快方に向かう。

針灸房のツボ

 急激に筋肉に痛みを発するのは、風邪がかかわることが多くあります、とくに腰痛、首痛、肩痛などです。

 首の痛みを「骨節疼痛(こっせつとうつう)」関節がかなり痛い症状とみると、麻黄湯が非常に効果があります。

この症状を関節の痛みと考えずに、首が動かせないとことを主な症状として「項背強几几(こうはいしゅしゅしゅ)」うなじ背中がこわばって動かせないと考え、葛根湯で「どこまでなおせるか」とやってみたが、やはりちかっがってました、治し方を間違うと全くダメ、その後、処方の迷走が始まる。
 筋肉を緩めるために「拘急(こうきゅう)」で芍薬甘草湯、きつい痛みを「煩躁」とし茯苓四逆湯、近所の犬友に「1か月はかかるで~ぇ」と見舞れ、自分的には病を楽しみ試行錯誤をしたかったのですが、犬友の手前、急いで治す必要があり、烏頭桂枝湯を服し、難を逃れた次第であります。
 朴庵先生の卓見のすごさに恐れ入ます。

 参考文献:
41-5 太陽病、頭痛、発熱、身疼、腰痛、骨節疼痛、悪風、無汗而喘者、麻黄湯主之。
34-14 太陽病、項背強几几、反汗出悪風者、桂枝加葛根湯主之。
40-1 太陽病、項背強几几、無汗、悪風者、葛根湯主之。方一。
38-30問曰、証象陽旦、按法治之而劇、厥逆、咽中乾、両脛拘急而譫語。師曰、言夜半手足常温、両脚当伸。後如師言、何以知此。答曰、寸口脈浮而大、浮為風、大為虚。風則生微熱、虚則両脛攣。病形象桂枝、因加附子参其間、増桂令汗出、附子温経、亡陽故也。厥逆、咽中乾、煩躁、陽明内結、譫語煩乱、更飲甘草乾姜湯、夜半陽気還、両足常熱、脛尚微拘急、重与芍薬甘草湯、爾乃脛伸。以承気湯微溏、則止其譫語。故知病可愈。
48-39 発汗、若下之、病仍不解、煩躁者、茯苓四逆湯主之。方三十二。
216-19 寒疝、腹中病、逆冷、手足不仁、若身疼痛、灸刺諸薬不能治、抵当烏頭桂枝湯主之。
 烏頭桂枝湯を用ふる証 『新古方薬嚢』
 腹中痛み、手足冷え又はしびれて自由の利かざる者、或は身體が痛む者、以上の様な証侯の者で鍼や灸や薬などで治せないばかりでなく反ってひどくなる者。