ALS(筋萎縮性側索硬化症)と漢方薬

姫路市の鍼灸院、山下針灸房です。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の父に処方をされていた漢方薬を紹介させていだきます。もちろん、鍼とお灸を使って施術もおこなっていました。近年、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行を遅らせるお薬も現れておりますが、今のところは使用が限定的な様子です・2023-07-10


ALSの球型タイプのご相談をうけました。

カウンセリングの時、父が服用していた漢方薬を教えてほしいとのことだったので、列記してみます。


必ずしても「ALSにはコレ」というわけではありませんが、体質、症状に合わせて、祖師谷の大先生に処方をしていただきました。

ベースは、白朮附子湯となります。

その他、症状に合わせて以下の処方を使われていました。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯

桂枝附子湯

小建中湯

茯苓四逆湯

四逆加人參湯

甘草湯

呉茱萸湯

甘草乾姜茯苓白朮湯

芍薬甘草湯

真武湯

通脉四逆湯

黄土湯

王不留行散

大黄シャ蟲丸

以上

ALSの東洋医学的見解
 筋肉がなえて動かなくなる病気を、東洋医学では痿証とよんでいます。
 どうしてそうなるか、どうすればなおるか、と解説をしています。
 皮膚・肌肉などの表と内藏などの裏にわけ、表裏の扉の開け閉めの閉めることができなくなり気が滞って邪気が裏にとどまると、病が発生すれば痿となります。
 そして、施術方法は宗筋を養い栄養を与えるように陽明を調整しなさい。
 と解説してます。(極端な意訳です)

参考に『霊枢』根結(05)と『素問』痿論(44)の一部を解説してみます。

 太陽は表を主る開であり、陽明は裏を主る闔であり、少陽は表裏の間にあり枢(とぼそ)であります。・・・闔の作用の常軌を失すれば、精気のとどまるところがなく、痿疾を生じます。痿疾を生じると陽明経脈に、虚実に基づいて治療をすればよいのです。真気が滞って邪気が裏にとどまることで、そこに痿疾が生じるのです。
 
「治痿者獨取陽明」『素問』痿論(44)が治療法の根拠です。
「痿症を治すにはただ陽明経を治療する」とあるのはどういうことですか?
岐伯先生がお答えになるには、陽明は五藏六府を営養する源であります。宗筋を滋潤営養することができるのです。宗筋は骨節と束(たば)ね関節を滑らかにすることを主るものです。衝脈は十二経脈の源泉であり、筋肉や皮膚に滲透して灌漑し、陽明経と宗筋で会合しています。全ての陰経と陽経は宗筋に会合し、さらに気街で再び会合しています。そして陽明経はすべての経脈を統率して、帯脈に連続し、督脈に連絡しています。それゆえ陽明経脈が弱りますと、宗筋が弛緩し、帯脈も引っ張ることができなくなり、両足が萎えて歩くことができなくなるのです。