水イボの考察 ~中医学~

中医学では、みずイボ・イボを次のように考えます。


水疱と皮膚膿疱という概念で症状を鑑別していきます。

水疱

水疱は皮膚疾患でよくみられる症状の一つであり、病種によってさまざまな水泡を呈する。水泡の部位、色沢・水疱の性状・浸出液の性状などによって弁証するが、病因は湿と密接な関係がある。
弁証鑑別は、
 水泡は、風湿・寒湿・湿熱・水湿・虫毒などである。
 これを、湿を中心に風寒熱の弁証を考えていくとよい。

皮膚膿疱

 皮膚膿疱は、熱毒・湿毒・湿熱・営血鬱熱と鑑別が必要です。
 これを、熱を中心に湿がどのレベルまで関与しているか、ひどければ営血まで影響している状態である。
 膿疱は外邪の侵襲によって生じることが多いので、治方はきょ邪解毒を中心とする。
 湿熱と営血鬱熱は、藏府の気血失調によって引き起こされるもので、治方は調理藏府・疏暢気機に重点を置く必要がある。
 参考文献:『中医診断と治療』燎原出版社
 ただし、胃気の保護に注意する必要があることについて、

「およそ瘍症は表に発するといえども、しかして病根は裏にあり、・・・・概して苦寒を用いて攻逐し、名づけて清火解毒となすも、実はすなわち胃を敗り生を伐す、胃気ひとたび敗にたい至すれば、すなわち変証蜂起す」『臨証指南・瘡瘍』

 水疱・カポジ水痘様発疹症(カポジすいとうようほっしんしょう)・膿痂(のうか:飛び火)と鑑別が必要であります。
 歴代の医家も、ただ皮膚の病と考えず、藏府も関与しているものがあると考えています。臨床的にみてもただ単独で皮膚に異常を起こすというより、皮膚に関与する藏府の異常が必ずあるとみていく方が自然かもしれません。まして長引いていいるものであれば、病の経過も鑑みて藏府の調整も必要である。