鍼がこわい、というだけで、不妊鍼灸を躊躇されている方もおられると思います。
針灸房では、赤ちゃんを授かり一心でお越しになれたクライアント様が、皮膚にふれるだけの鍼やお腹に木槌(きづち)でコンコンとする打鍼で妊娠されたケースがあります。
では、どのようなやり方なのでしょうか?
皮膚に触れるだけの鍼
鍼は体の中に刺さなくても施術効果を上げる方法があります。
お身体のどこでも構いません、皮膚の表面にゆっくりと手のひらを近づけていくと、手のひらかか皮膚の部分に、どちらか一方もしくは両方に暖かい感じを感じると思います。
この位置から皮膚の表面までが、東洋医学でいう衛気(えき)が作用している部分となります。
このエリアに意識的に鍼を近づけていくと身体は何らかの変化があらわれていきます。
これをツボにデリケートにアプローチをしていくとお身体が変化していきます。
もっと大きな感覚でたとえると、
立っている人の後ろをゆっくり近づいていくと、立っている人はある距離になったところで気配を感じ、「なによ、びっくりするやん」と後ろ振り向くと思います。
この距離がお互いの衛気が接触する部分です。
人によって離れたところから感じたり、相当に近づかいないと感じなかったりします。
また、体質によっても、体調によっても違いがあり、感じ方が一定ではないので、「あやしい」と思われますが、実際にトレーニングをしていくと理解していたけると思います。(まぁ、一般の方は必要ないと思いますが…)
鍼灸の流派によっては、鍼灸師のたまごちゃんたちも衛気を感じるトレーニングをしています。
もっと、簡単にたとえると、あの人は覇気があるとか、オーラがあるとかになります。
見えるものではないですが、感じることはどなたでも体感されることでしょう。
針灸房では、この衛気の働きを利用して、金製・銀製を中心に銅製・チタン製・ステンレス製・木製などの材質でクラアント様にあった最適なもので施術を行なっています。
古代鍼での施術例
二人目不妊の方が16診目で妊娠されました。【女性36歳/姫路市】
児童発熱
インフルエンザとスマホ
お腹に木槌(きづち)でコンコンとする打鍼
室町時代の僧侶・夢分翁(夢分斉:むぶんさい)が発明した腹部に施す鍼術で、日本独自の鍼灸術で打鍼術(だしんじゅつ)といいます。
鍼は様々の材質があり、槌という木槌で、お腹の表面が緊張して硬かったり、力なく軟らかかったりした悪い部分をトントンとリズムよく叩いてお腹の表面を弾力がある柔軟なお腹に変化させて様々な病気を治していきます。
室町時代の起源の鍼術を昭和・平成と時代を経ながらアレンジされ、さらに発展し精度を増しています。
鍼道秘訣集(1772年)に夢分斉の伝書として紹介されています。
江戸期から昭和にかけて、先師が打鍼を紹介はしていますが…。
実際、打鍼のみで治療を行っている治療家は、師藤本蓮風の教えを汲むもののほかはごく少数であります。
打鍼の施術例
打鍼は鍼が上手くなる
針灸房も兄弟子からの教えを守り、毎日起床時には、腹診(ふくしん)をして腹部の邪(じゃ:悪いところ)を確認し、自ら火曳(ヒビキ)の鍼をおこない、金の鍼の動かすスピード、角度、呼吸との合わせ方などアプローチ仕方で変わる鍼の響きを自由に操り、腹部の邪の変化させていく修練を繰り返していました。
当時は、スタッフでも患者様の治療にもあたらせて頂いていた(※)ので、毫鍼(ごうしん)を使わずすべて打鍼のみで治療をおこなっていました。
「もう、そろそろ、鍼を」と師より許しが出て、やっと毫鍼で治療にすすんでいきました。
どのような疾患でも打鍼でチャレンジできた経験は、針灸房の鍼灸術の基礎となっています。
打鍼を操れるからこそ、難解な疾患にも平然と立ち向かうことができるのです。
※現在、藤本漢祥院は師蓮風の治療だけとなります。
どのような疾患に施術をしたのでしょうか?
リウマチ、下痢、便秘、アトピー性皮膚炎、喘息(ぜんそく:ぜん息)、食あたり、肩こり、腰痛、膝痛、肩痛、頭痛、めまい、易疲労、肝炎、褥瘡(じょくそう:床ずれ)、不妊、逆子、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、生理痛、月経不順、風邪、発熱など、とりあえず思い出せたものを列記してみました。
打鍼の奥義は火曳にあり
火曳(ひびき)の鍼がマスターできれば打鍼術の修練は8割方完成です。
腹部で邪(悪いところ)を正確に把握することができると、ツボを正確に捉えることきっかけになります。
そうなると、背部のツボを正確に捉えることができる。
さらに手首足首のツボ(原穴)が正確にとらえるレベルになると、鍼の技術、脉診(みゃくしん)の技術も上がっていきます。
ツボの観察の向上が鍼灸術の向上につながり、鍼灸術の向上がツボの観察力の向上させていく。相互に観察力、術を向上させていきます。
責:姫路市山下針灸房
山下雄司